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-------------------- ◇特集[改修という選択]【★★★★☆】 昨今は、持続可能な資源循環型社会が求められています。建築行為においても例外ではなく、今あるものを、いかにして有効利用していけるのかを求められる時代です。 特集では、そんな時代を反映した改修事例を紹介するとともに、これから改修設計において、どのようなことが設計者にも求められるかを考えていきます。 ー ー ー ー ー ー ー [豊田の家](白井克典設計事務所) 愛知県豊田市の夫婦二人住まいのための改修です。既存建物は木造2階建てで延床面積269.5平方メートル、改修を依頼した夫婦を含む6人家族の家で、非日常の「ハレの空間」である24畳の和室に人が集まるプランでした。 時間が経ち、家族構成の変化により、使い方も変わり改修することとなりましたが、そこでは夫婦二人だけの日常生活を充実し、自立して外に出た子供たちや友人が集まりやすい家にすることが求められました。 その際、既存の内装のすべてが暖かみのある落ち着いた色になっていたことから、これらの現状を可能な限り生かした改修をすることになりました。 また、和室は10畳だけ残し、使わなくなった部屋はフローリング張りとして、45畳のアイランドキッチンを中心とした団欒の場に生まれ変わりました。 それまで、家の中には緊張感のある非日常としての和室が占めていましたが、無くすことをせず、あえて小さく内包したことで、どこか懐かしさを残したものとなっています。 手垢の残る内装と和室を残したことで、過去を共有している家族が再び集まるための場所として、ふさわしい改修となったのではないでしょうか。 ー ー ー ー ー ー ー [花内屋リノベーション](吉村理建築設計事務所) 敷地は奈良県御所市。江戸・明治時代からの町家が多数残り、歴史的な街並みを保持する通りの一角にあります。既存建物は築180年で139.4平方メートルほどの町家で、夫婦と子供のためにリノベーションされました。 改修では、建設当初の柱、梁を表舞台に見せ、既存を可能な限り補修して利用しています。また、仕上げから構造補強部材に至るまで全て接着剤を用いず組み立てられ、分解再利用可能なプロダクト的なものにとどめています。 空間的にも通り土間や、坪庭、内部空間へと滑らかに連続しながら行き止まりの無い回遊動線をつくりながら、やわらかな光や風が抜ける構成にしています。 材料にもこだわり、木材も近場のものや、古材や古い土も利用しており、日本の町家建築が持つ良い部分をうまく利用しながら再生しています。環境を一番に考えなくてはならないこの時代に合った、エコロジー住宅と言えるでしょう。 ー ー ー ー ー ー ー 他の改修例を見てもわかりますが、新築と改修では、考えるべきことは全く異なってきています。しかし、いずれのものを見ても建築家の役割として、豊かな空間作りをしなくてはならないということは、変わらないことに気づかされます。 その極端な例だと、ル・コルビュジエのサヴォア邸の改修があります。建物の空間的な価値を残すために、荒廃していた建物を見事に復活させ、現代でも私たちが体感することができるようになりました。そういう意味でも、改修設計を深く掘り下げることは大切になってきます。 日本は四季のあるため建物の寿命が短いのは仕方ないという考えもありました。ですが、これからは、四季のある日本だからこそ、改修設計を突き詰めていく必要があるのではないでしょうか。 -------------------- ◇特別記事[永田昌民のつくる居心地のいい住まい]【★★★★☆】 [金沢八景の家](N設計室/永田昌民) 敷地は神奈川県横浜市で、遠く鎌倉を見下ろす小高い丘の上にあります。西側は、緑豊かな樹木に覆われた自然樹林帯の「六浦緑地」に面しています。 ここでは、夫婦2人と子供たちの部屋、生活と一体になった仕事部屋、夫婦が一緒に料理できるような広い台所といった間取りの要望に加えて、周辺の緑地など外部との気持ち良い関係も求められました。 この場所で建築家・永田昌民さんは、木造2階建ての住宅を設計されましたが、特に外部との関係性にこだわっているように思えます。 例えば、窓の配置に気を使うのは当然ですが、その建具枠をアクセントとして際立つ色使いにし、風景を楽しめるように扱っています。 また、建具の一部に、障子戸や簾戸を採用しています。これにより、ぼんやりと外部の輪郭が見えたり、影が映りこんだりし、外の気配をやわらかく感じることができます。 これらは、開くでも閉じるでもない、外と切り離しながらも緑に溶け込むという、非日常的な感覚を生んでいます。 この住宅には、そんな外部との関係にこだわった場所が、たくさん散りばめられています。そしてそこが、居心地の良い場所となっています。 借景というと、気持ちよく開けばいいと考えてしまいがちです。ですが、住宅において居心地の良さを求めると、落ちついた隠れ家的な場所も必要になります。 金沢八景の家では、建築家の工夫のおかげで、『開くと閉じる』の相反する二つの関係がバランス良く保たれた事例と言えるのではないでしょうか。 -------------------- ◇特別記事[住空間を彩る薪ストーブ]【★★★☆☆】 薪ストーブを住宅に組みこんだ4つの設計事例です。現代的な暖房器具ではないのに、採用した住宅はどんなことを期待したのかを紹介しています。 ー ー ー ー ー ー ー [101番目の家](竹原義二/無有建築工房) 大阪府豊中市にある竹原義二さんの自邸となります。この住宅は壁で部屋を仕切るのではなく、大きな一室空間を作ることで、同じ時間をみんなで過ごすことを意図しています。 例えば、玄関一つを例にとってみても、広い土間で構成されています。そのおかげで、どこでも靴を脱げてしまい、どこを玄関と呼んでいいか曖昧です。 そんな土間空間に、薪ストーブは設置されています。そのため、冬は薪ストーブの近くに住まい手の中心が寄ってくることが、容易に想像できます。 住まい手のため、季節や時間で、楽しい居場所がいくつも発生する、楽しさに溢れた住宅と言えるでしょう。 ー ー ー ー ー ー ー [牛久の家](八島建築設計事務所/八島正年+八島夕子) 茨城県牛久市にある個人住宅です。この住宅では、傾斜した大屋根の下に、メインの大きな空間を配置しています。そこは食堂と居間のあり、境になるような位置に180度回転する薪ストーブを設置しています。 これにより、生活シーンに合わせた使い方ができるように工夫しています。キッチン側にむけると、料理を温めることに使えますし、居間側に向けると、視覚的に炎の揺らぎを見て、楽しむこともできます。 また、暖炉の熱が住宅全体の空気の流れを作っています。暖気は大屋根伝うように、家中を流れ、メインフロアを離れていても、ぬくもりを感じられます。それは、空気の流れを共有することで会話が生まれ、家族としての一体感が高まると考えられます。 取り上げられている他の住宅にも共通することですが、基本的に暖炉は大空間の中心に置かれ、エアコンとは違った存在感があります。 炎の揺らぎで目を楽しませてくれると同時に、住まう人が暖を取るために、集合してくることで、コミュニケーションを生む装置としても、期待できるのではないでしょうか。 --------------------
by k2_plan
| 2012-09-01 09:00
| 住宅計画研究会
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