しばらくぶりのブログになりました。
16日に発生した新潟県中越沖地震で被災された
方々には、心よりお見舞い申し上げます。
地震による建物の倒壊により、その下敷きになり
亡くなられた方がおられたことは、非常に心の痛むこと
でありました。
耐震診断、そして耐震補強が少しでもなされていたら、
と思うと、建築家として忸怩たる思いです。
昨年施行された「改正耐震改修促進法」を受け、
各自治体で「地震防災マップ」の作成を進める動きが出ています。
「地震防災マップ」とは、地域の揺れやすさをあらわす
「揺れやすさマップ」と、地域の建物の築年数や構造など
をあらわす「地域の危険度マップ」の2種類の情報により、
地震発生時の避難や救出活動等に役立てることを目的とした
地図のことです。
このようなマップの作成も非常に大切なことですが、
マップの作成には地域の建物の耐震診断が必要となります。
しかし、現状では、耐震診断は遅々として進んでいません。
耐震診断が進まないということは、耐震補強が必要な建物
の判別と、実際の耐震補強も進まないということです。
耐震改修促進法が施行されたものの、現状では耐震診断及び
耐震補強をするか否かは、住民個人の意思に委ねられています。
耐震意識の強い方の中には既に診断および補強を受けておられる
方もいます。しかし、年金暮らしや生活にゆとりのない
方など、地震の危険があるとは知りながらもなかなか
耐震への対策にまでお金を出せないという方が多数おられる
のが現状です。
耐震診断をした上で、耐震補強が必要となる建物は多数にのぼる
と考えられています。しかし、補強基準に沿うように耐震補強をすると
なると、数百万円の出費になることが多く、その費用の高さが、
なかなか耐震補強が進まない原因となっているのは明らかです。
7月22日の読売新聞に、耐震補強についての記事がありました。
そこにも書かれていましたが、数百万円もかかる耐震補強を
住民に勧め続けても、遅々として補強件数は増えてゆきません。
そこで、もっと簡易な方法での耐震補強を進めてはどうか、
という方針を打ち出す自治体が出てきました。
例えば、柱一本でも、筋違一箇所でも、その建物の弱い部分
に補強を入れる。たとえ簡易であっても補強をすることで、
実際の地震発生時に建物の倒壊による死傷者を少なくする
ことは可能なのです。
耐震診断、耐震改修による出費をできるだけ小額に抑え
ることで、実施数は飛躍的に増加すると考えられます。
それは、ひいては地域の安全性を高めることになり、安全な
地域づくりのために是非とも、簡易改修を進める体勢づくりを
提言していきたいと考えています。
先日、所属する立川市商工会議所の建設部会の会議があり、
その席で上記のような意見を述べさせていただきました。
建築家として、地域の安全に対し貢献できることはしなければ!
…そのための働きかけとして、同じく所属している
東京都建築士事務所協会西部支部でも、上記のような提言を
していきたいと考えています。